[小説レビュー]
満足度 ★★☆☆☆
嵌り度 ★★☆☆☆
癒し度 ★☆☆☆☆
興奮度 ★☆☆☆☆
長編だと思ってたら、50Pずつくらいの7つの短編から構成されていた。
主役は大体、30代後半くらいの中年男性。
7つとも登場人物は違うのだが
焦点が当てられている男性の人間像はかなり共通性がある。
どの男性も、「現実には諦め」を感じていて、
その諦めゆえに現実と内面との折り合いをつける為、
自己の行動を正当化している。そして、結局ひずみが出て破綻する。
人間的にかなり未熟であり、年齢こそ重ねてはいるが中身は子供のままである。
他人が思い通りになると思っている。
または、そう思っているのに思っていないと思い込んでいる。
読んでいてイライラしてくるというか、いい気持ちではない。
あまりにも自分勝手で、未熟で、それでも現実を仕方なくこなしていて
そしてこれが世界の実態だ。といってるように見える。
ある種の人間にとっては、かなりリアリティがある。
「あぁ、大人になってもやっぱりこんなものなのか。」
と思えるような作品である。
短編の最後には、「少しだけいい話」というか、主人公の心の負担が
少し軽くなるような描写がしてあるものが多いが、焼け石に水である。
全然「ビタミン」にはなりえない。
明日からは元の木阿弥の日常が待ち受けているのが目に見える。
主人公達のような人間は実際にいるだろう。いっぱい。
そう思えるくらいリアリティはある。
そしてそんな人達もどうにか生きていかなければならない。
がんばって欲しいとは思う。
それは別にして、この小説はお勧めしない。
この小説にヒントなどない。