情報

大量に情報を仕入れぶくぶくと肥大化し、仕入れているのか仕入れされているのかはもはやわからないままに、一旦受入れた方向を転換するべく力も既に失われつつありながら、そんな事などお構いなしに喰えよ喰えよと迫りくる情報を前に辟易しつつもただ受入れるのみである。
取捨選択をする事とはすなわち妥協点を見つける事ができる事であり、先天的なものなのか後天的なものなのかはわからぬが、何らかの欠陥あるいは欠落の為に歯止めがきかず、僕のしている作業は無理数を悉く追いかけて実態を見ようとする作業に他ならない。あるがままの現実を現実として人間が理解できないように、円を円として受入れる事はできずπをπとして理解する事はできず近似値でもって生活する事ができず、永遠に円周率を追い求める無限地獄である。
誰かが僕の頭に電気ドリルで穴をあけてどこかにある停止スイッチを押してくれればよいのにと夢をみながら空を見上げて空の青の青さと雲の白の白さにため息をつき、この世の全ての物質という物質、物体という物体が浮遊してしまい全てが混沌の中に渦巻けばそれはそれで心地よいのかもしれないと思っていると、物質という物質、物体という物体が浮遊した。