蹂躙される権利 - suVeneのアレ

蹂躙される権利

権利に関しての争いは後を絶えない。最近、絵本の著作権に関して話題になっている。

asahi.com:「読み聞かせ」に細かい注文 著作権めぐり作家ら

俺は別に「読み聞かせ」が身近にある環境ではないので、
この著作権団体の提唱する内容が妥当かどうかは分からない。
しかし、絵本を作っている作家が著作権に関して権利を行使するのは当然のことだと思っている。
ただ、内容が細かすぎて誰も本を読んでくれなくなり、
その絵本が売れなくなったりする可能性はあるだろうから、
その辺は権利がきちんと確保されながらも、多くの人に(絵本ならば特に子供)
触れてもらう機会を増やしていけるようにするほうが望ましいだろう。

何故この話題を取り上げたかというと
反対する団体や個人の意見が人の権利を蹂躙したような意見が多いことに驚いたからだ。

  • 子供に対する絵本の読み聞かせは大切だから固いこと言うな。
  • 金の亡者。権利権利というなら絵本など作るな。
  • 読み聞かせが敬遠され、子供の本離れが懸念。

この辺の意見の意味が分からない。
著作権法を見直して、有意義な法律にしようとするのならまだしも
「固い事いうな」とか「絵本作るな」ってのは、
法律は関係ないとか権利を主張するなって事だろうか。

子供の為だから固いこと言うなという人は、子供にお菓子をあげたいので
万引きくらい固いこと言うなってのと同義だと思うのだが、どうなのだろう。

大切なのは、お互いの権利を不当に侵害しないためのルール作りであり
「子供の為」という、一見大義名分で正しそうな言葉を使い
相手の権利を侵害する態度はいただけない。

逆に、著作権を無視して子供に(営利を伴う)読み聞かせをする事が、
幼少の頃から権利を侵害する罪悪感を感じさせないようにするのだとは考えないのだろうか。

「面倒だから敬遠される」故に、「絵本と触れ合う機会が減る」可能性がある事は同意するが
著作権団体が言っているのは、「営利目的」の場合「著作者の承諾が必要」
と当たり前の事を言ってるのであり「非営利」とはどのような場合を指すのかの
ガイドラインを示しているのではないか。

議論すべきは、そのガイドラインの不明点の問い合わせ先や、レスポンスの問題、
パブリックドメインを認めるかどうか、だと思うわけだが。

なんというのか、勝手に使われちゃ困るって、絵本とか児童文学って、垣根を立てるべきものなのでしょうか?
・・・ 中略 ・・・
お話会はほとんどがボランティア。時間がない中でやっている人たちが、出版社の回答待ちという時間も取られてしまうというリスクも気になります。
・・・ 中略 ・・・
ぶっちゃけ、「固いこというな!」と思ったのは、わたしだけではないと思うのです。
絵本というソフトな世界にいきなり飛び込んで来たハードな許可制。
Yunyの鉄は、熱いうちに打て。 – 「読み聞かせ」と著作権

ボランティアだから、法律とか言わずに大目に見てくれ。ってこと?
引用元記事の人が上記のような意思があると思ったのは、俺の勘違い。
話し合って妥当な線を見つけましょうというスタンスのようです。

* 追記 2006/05/15(月) 15:30 from Hatena sbm
2006年05月15日 himagine_no9 著作権 どうしてこうもシロクロつけて言いたがるかね? はっきり言えば、無償・無報酬の著作物利用っての基本的に権利が及ばないのだよ(複製権と送信可能化権以外は)。特に「読み聞かせ」の場合は議論を要する。

法律に詳しそうな方の意見です。
シロクロつけた文章にするのは、自分の意見を明らかにする為で、
自分の意見や思い込みに間違いがあれば是正したいからですね。

> 無償・無報酬の著作物利用っての基本的に権利が及ばないのだよ(複製権と送信可能化権以外は)

なるほど。だからこそ、無償・無報酬がどのような場合にあたるのか
「「非営利」とはどのような場合を指すのかのガイドラインを示しているのではないか」
が重要になってくるのだと思います。

> 特に「読み聞かせ」の場合は議論を要する。

もっともだと思います。著作権団体が提唱する権利に対して無条件に従えというわけではなく
議論して決めていかなければならないでしょう。
故に、「固いこと言うな」や「絵本の世界に権利や法律を持ち込むな」という主張は理解できず
敵同士ではないのですから(著作権団体、著者・作者、読み聞かせする人々)、
お互いの意見を聞く体制をとるべきなのかなと思う訳です。

* 追記 2006/05/15(月) 18:30

全国から大量に届くであろう申請を、社員数名といった小さな出版社が適正に裁ききれるのかといった懸念もあります
・・・ 中略 ・・・
昨日「寂しい」と書いたのはまさにこの点でした。(だからといって著作者の権利を侵害して良いとは思いませんが、最終的に児童文学が子どもから次の世代の子どもへ語り継がれることを希求するのであれば、その辺りにはもう少し寛容であるべきではないかと思ったわけです)
・・・ 中略 ・・・
著作者が同一性を保持したい気持ちも分かりますしその権利も理解できますが、著作物の利用そのものに枷をはめるような方向に向かったら本末転倒です。
作品が多くの人に愛されることを阻害しないルールに、更に練り上がって欲しいと思いました。
Yunyの鉄は、熱いうちに打て。 – 「読み聞かせ」と著作権2

引用元の記事には、追加記事があったようで気づきませんでした。
確かに、お互い誤解なきよう、そして現実的なルールを話し合っていくべきだと思います。
出版社に直接負荷がかかって、業務が追いつかないようであれば意味ないですしね。

* 参考記事
asahi.com:「読み聞かせ」に細かい注文 著作権めぐり作家ら
Yunyの鉄は、熱いうちに打て。 – 「読み聞かせ」と著作権
Yunyの鉄は、熱いうちに打て。 – 「読み聞かせ」と著作権2
Copy & Copyright Diary – 読み聞かせ
エンドユーザーの見た著作権 著作権行使と、国民の理解

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コメント

  1. E.R.N. より:

    ねぇ、マッタク関係ないけどスっていまリネしてんの?

  2. より:

    最近してない。

  3. [ニュース]「読み聞かせ」と著作権4

    「読み聞かせ」に細かい注文 著作権めぐり作家ら(asahi.com 2006/05/13) についての日記、d:id:Yuny:20060513:p1、d:id:Yuny:20060514:p1、d:id:Yuny:20060515:p1、の続きです。 かれこれ3回ほど書いてきました。その間、はてなブックマークコメントやトラックバック等も

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